先輩所長の現場の下に入り、おもに雑用仕事をしていました。具体的には日報をつける、職人の弁当の手配など、本当に雑用です。当時は、現在と比べて「教えてもらう」ということがほとんどなかったですね。職人が何をしているかを聞いてみたり、目で仕事を覚えたりしながら仕事を学んでいきました。そうやってある程度仕事を理解し始めると、徐々に仕事を任せられることが出てきます。まずは屋上の目地や足場の図面を描くなどから始まり、経験を重ねていくごとに任される内容も変わってきました。
1級建築施工管理技士の資格を取得するまでは、所長の管理下ではありますが、1人ですべての施工管理業務を行っていました。所長になるための現場での修行期間のようなものです。私の場合は資格を取得するまでのキャリアが長かったので、5〜6年ぐらいは所長業務全般をこなす期間がありました。
資格の取得、修行期間を経た後、所長に就任しました。前述した通り、資格取得前に、所長が行う仕事の内容のほとんどを行う時期がありましたので、あまり違和感や戸惑いはなく所長としての仕事をこなせていけたと思います。
基本の業務内容は所長全般の業務ということで大きく変わったことはありませんが、任される現場の規模は大きくなってきました。また複数の現場を同時に担当することがほとんどですので、次席との業務の振り分けも鍵になります。当社の場合は、一度組んだメンバーと別の現場でも一緒に担当することが多く、連携が取りやすい環境だと思います。
とにかく、職人の方にケガをさせない。それが一番ですね。現場の安全対策については注意喚起や環境づくりなど、ある程度マニュアル化されています。当然、それを職人全員に徹底してもらう必要がありますので、日々コミュニケーションを欠かさないようにしています。
建物の「質」に対する考えは変わってきました。若いときは、「良いものをつくって引き渡す」ということを目標としていましたが、徐々に「引き渡してから10年、20年と満足していただける建物をつくれるか」ということを意識するようになっていきました。
後輩の育成には、力を入れていきたいと思います。新入社員の育成ももちろんですし、また所長レベルと若手レベルの間、中堅社員の育成についても、丁寧にフォローアップしていきたいと思っています。