先輩所長のサポート役として、指示を職人に伝えることや、現場で必要な写真撮影を行うなどといった仕事をしていました。あとは、測量をする機会も多かったです。
私が新人だった当時は、業界全体として今よりも放任主義の雰囲気がありました。誰かが仕事を与えてくれるのではなく、職人の作業や先輩社員の仕事を見ながら、次の作業で使う材料を予測して運ぶなど、自分で考えて行動することが求められました。そうやって仕事を見ながら、現場で欠かせない「見るべきところを見る力」は備わっていったと思います。
現場である程度の経験を積んでいくと、徐々に1人で担当する仕事が増えていきました。もちろん、元請工事として現場を1人で担当するためには、土木施工管理技士の資格が必要です。私の場合は、資格を取得するまで、資格取得前でも可能な大手建設会社の下請工事などを担当して、現場の施工管理としてのノウハウを身につけていきました。
資格の取得、修行期間を経た後、所長に就任しました。前述した通り、資格取得前に、所長が行う仕事の内容のほとんどを行う時期がありましたので、あまり違和感や戸惑いはなく所長としての仕事をこなせていけたと思います。
所長としての経験を踏んできた現在でも、基本的な仕事内容は変わらないですね。1人で現場を担当することが多く、現場全体の品質管理、現場管理、工程管理、安全管理などを行っています。
その上で、新人や若い社員が現場に配属されることもありますので、そのときは具体的な仕事を指示して、現場での仕事を学んでもらっています。以前に比べると、お客様に提出する品質証明などの要求事項が増えていることもあり、指示する仕事も多くなっています。
元来が凝り性ということもあり、細かいところも含めて、品質も原価も他の誰かが担当するよりも、少しでも優れたものをつくりたい、という気持ちは常に心がけていました。少しでもいいものをつくり、少しでも利益を高める努力はしてきたと思います。
職人とのコミュニケーション方法は変わってきました。若いときはどうしても「自分が指示する」という気持ちが強かったのですが、最近は職人も意見も聞き、全体を俯瞰しながら職人が動きやすいような環境づくり・段取りをしていくことが重要だと感じるようになりました。
1つの現場を担当していればいい、という立場でもありませんので、もっと会社全体を俯瞰したマネジメントは意識するようにしています。例えば、今の若手社員が現場を1人で任されるようになったときに、社員をバックアップしていくことには、注力していきたいと思います。